校の課程まであるわけですが、歩行訓練を教える先生が、日本でも5、6人くらいしかいらっしゃいません。これは盲学校にお勤めの先生方です。ですから盲学校で歩行訓練を習えずに、社会人になって初めて歩行訓練を習ったという方がたくさんいらっしゃいます。従ってガイドボランティアの必要性が出てきてしまう。各盲学校に歩行訓練士の先生がおられたら、私たちガイドの数も少なくてよいし、私たちは寝たきりにならない盲人の方たちのボランティアができると、実はそう思っております。 それから盲学校のなかの5人に4人は弱視の方たちです。従ってふつうの文字が見えます。場合によっては新聞の文字も見えます。しかし、その方たちに5、6年前まではまだ点字教育が主体でありました。見る力があるにも関わらず、盲学校のなかで視覚障害者、いわゆる「文盲」と呼ばれる人を育ててしまったわけです。100年以上の伝統のある教育の中にもまだまだそういう体制があり、なおかつそういう見える人たちのために拡大写本のボランティアがいらっしゃいます。拡大写本というのは教科書のことです。教育のなかの教材づくりというのは本当は盲学校の先生にしていただきたい、ボランティアに100%頼っていただきたくはない。見る方法のなかの1つとしては、最近はテレビ拡大機というのがあります。テレビでものを大きくする拡大機ですが、横に座っている福岡市の植木部長が全国に先駆けて基準外の交付を認めていただきまして、視覚障害の全家庭にこのテレビ拡大機を配布するようにできました。 まだまだこのようなボランティア活動での問題点は、例えば1つの点訳サークルなら点訳サークルにどうしてもボランティアの人たちが固まってしまい、他の老齢の問題や拡大写本の問題など、私たちが日常的に困っているところに目が向かない。それをコーディネートするのが福岡市の社会福祉協議会、あるいはボランティアセンターであろうと思いますが、そのボランティアセンターは一生懸命、本当の意味で動いていただいております。ただ、現実的にそれができていないのは、ボランティアの自己満足が先行してしまい、これが良いからという独占的な態勢でボランティア活動をやってしまっているところに問題があるのではないかと思います。 最後に企業にお願いしたいことがあります。企業でもボランティア活動をやられるのは非常に大切なことでもありますし、社会のためにもよろしいと思います。しかし、できましたら雇用促進法というのがございますので、視覚障害者の方が一般の社会に出て勤めようと思っても、この法律があるにも関わらずなかなか雇用していただけないのが現状ですぜひともそういうところをご理解いただき、お願いしたいと思います。 田中 ありがとうございました。それでは最後にタイムダラーの活動を実践されているヘロン久保田さんにご報告をしていただきたいと思います。今日お配りしている資料のなかに『ふれあいねっと』という私ども長寿社会文化協会の機関誌がございますが、その16ぺージに「グループだんだん」という団体の報告があります。これはヘロンさんがコーディネートされてアナ・ミヤレスさんやエドガー・カーン博士が訪問されて具体化してきたものです。この会場のなかにも時間預託制を取り入れたボランティア活動をされている団体の方がいらっしゃっています。それでは久保田さん、お願いします。
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